『ソハの地下水道』で見るポーランド人の葛藤

‘AS IF WE NEED GOD TO PUNISH EACH OTHER
(人間は神を利用してまでお互いを罰したがる)’

第二次世界大戦真っただ中のポーランド。

主人公のソハ(ロベルト・ヴィエンツキエヴィチ演)は下水修理工として働くかたわら、空き巣を繰り返し、空き巣で盗んだものは自身が「庭」のように知り尽くしている地下水道に隠していました。

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その頃、ルヴフ・ゲットーに強制移住させられたユダヤ人が逃亡のために地下水道への穴をあけます。
そこでソハとユダヤ人は出くわしてしまいますが、ユダヤ人が自分たちをかくまってもらうためにスイス製の時計を渡します。

そこでソハはいいことを思いつきます。
それはユダヤ人をかくまう代わりに、彼らからお金をむしり取るというものでした。

ユダヤ人との取引が成立したのち、ゲットーではユダヤ人の虐殺が始まり、事態は予断を許さない状況になりました。
ユダヤ人たちは地下水道に穴を貫通させた家に群がり、ゲットーからの脱出を図ります。
ソハにとって避難してきたユダヤ人の人数は想定外でした。

ユダヤ人たちの地下水道での劣悪な生活が長引くにつれ、ユダヤ人もソハも精神的・肉体的苦痛が増大していきます。
それでも彼らはこの戦争が終わるのをただ待つしかありませんでした…。


映画は2011年、アグニェシカ・ホラント監督のもと、ポーランド、ドイツ、カナダ合作で公開されました。
映画の登場人物は実在した人が題材になっています。

主人公のレオポルド・ソハは1909年にオーストリア=ハンガリー帝国のルヴフ(現在のウクライナ西部の街リヴィウ)で生まれ、映画にあるとおり、1945年、ポーランドのグリヴィツェで36歳の若さで亡くなりました。

その年のアカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされています。


第二次世界大戦中、ポーランドは西からナチスドイツ、東からはソビエト連邦が進軍し、国民は苦しい思いをしていました。

そんな状況の中、ソハはユダヤ人への心境の変化があったものの、自身の行動に葛藤はあったと思います。
当時、ユダヤ人の擁護は発覚すれば処刑という厳しいものでした。

それゆえに、ソハに限らず、ポーランドやその他諸国のユダヤ人を救った人たちの行動は構成にも語り継がれるものだと思います。

私は戦争の激戦地等を題材にした映画はあまり見ませんが、こういった戦争中の人々の生活を描いた映画を通して、過去の出来事を見つめています。

この映画では登場している人の顔、特に目が戦争の恐ろしさを物語っています。

映画の内容は実際重たいものですが、『ソハの地下水道』、記憶に残る作品です。





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