妻を殺した犯人を捜せ 時間軸を戻しながらストーリーは進む『メメント』

射殺された人の写真が徐々に薄くなる。

時間は徐々に逆回転して、写真はポロライドカメラの排出口に吸い込まれ、落ちていた銃は主人公の手中に戻り、弾丸は銃口に戻り、悲鳴が聞こえる。
『メメント』の最初のシーンです。




主人公のレナード(ガイ・ピアーズ演)はある日自分の妻が殺されたのを目撃します。
犯人は2人、1人は射殺したものの、残りの1人とのもみ合いで重傷を負います。
そのケガにより、レナードは10数分程度しか記憶を保てない前向性健忘になってしまいます。

彼は逃げられた犯人を追い、復讐をするために体に犯人のヒントとなるタトゥーを入れ、出会った人、場所、モノを写真にとってメモ書きをするようにしました。
最初のシーンの直前、レナードは自分が泊まっているモーテルにテディという男がやってきます。

テディはレナードに対してとてもフレンドリーでしたが、レナードが撮ったテディの写真のメモには「やつのウソを信じるな やつが犯人だ 殺せ」と書いてあり、レナードはテディを銃で殺します。
そしてシーンは最初のシーンとつながりました。

この映画では数人しか登場人物が出てきません。



殺されたテディ、犯人探しに協力をしてくれるナタリー(キャリー=アン・モス演)、そしてモノクロのシーンで登場するレナードの元仕事の顧客サミーとその妻。

映画はカラーのシーンとモノクロのシーンが交互に進んでいきます。
カラーのシーンは時間軸を徐々に戻していき、モノクロのシーンは徐々に時間軸を進んでいきます。

レナードは誰を信じればいいのか、テディの殺害が本当の結末なのか登場人物の言動が交錯していきます。

『メメント』は『インセプジョン』や『ダンケルク』で有名なクリストファー・ノーラン監督の2作目の映画で、その年のアカデミー賞脚本賞と編集賞、ゴールデングローブ賞の最優秀脚本賞にノミネートされました。

またアカデミー賞の前日に開催されるインディペンデント・スピリット賞では作品賞と監督賞を受賞しています。
最後の結末での衝撃さでいうと、私の見てきた映画の中でも最高のものでした。

これほど時間軸をうまく利用した映画は他にはないと思います。
時間軸の逆再生、カラーの時とモノクロの時のシーンの意味は映画の終盤になるとわかっていきます。

このようなサスペンス系の映画は結末を言ってしまうと野暮なので、ネタバレはせず、続きは実際に映画を見て確認をしてください。





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