日々は過去を残して進んでいく『つみきのいえ』

今回紹介するのは2008年公開、加藤久仁生監督の短編アニメーション映画『つみきのいえ』(フランス語タイトル: La maison en petits cubes)です。

聞いたことがある人も結構いると思うのですが、この映画は2009年に行われた第81回アカデミー賞で短編アニメ賞を受賞しました。

この年には滝田洋二郎監督の『おくりびと』も外国語映画賞を受賞しましたね。

ここで『つみきのいえ』の内容について少し紹介したいと思います。



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波の音が外から聞こえる小さな家。
老人は一人その家に暮らしていました。

家々はそれぞれ海の上に建てられており、地面といえる場所は家の外にはどこにもありません。

海面が日に日に上昇していく、そんな世界。
いくつもの家が海の中にも静かに立っています。

ある日、老人が目を覚ますと床に水が溜まっていました。
海面が上昇してきているのです。
老人は一人、また新しい部屋を今ある部屋の上に建て始めました。

雨の日も、風の日も、老人は新たな部屋を建てるためにレンガを積み上げていき、ようやく完成を迎えます。

下の部屋から家具をボートに乗せ、新しい生活を老人は始めようとしていました。
そのとき、老人は自分のパイプを落としてしまいます。
パイプは部屋の底にあった、開いていた扉から深い水中へ落ちていきます。

別の日に、老人は潜水用のスーツを着てパイプを探しに向かいます。
パイプはすぐに見つかったのですが、老人はそこからさらに床にある扉を開けて下へ下へ、自分が積み上げてきた「つみきのいえ」をたどっていきます。

下に行くほど昔の自分、そして家族の思い出を思い出し、まるで自分の人生を回想できるもののようでした。

なんというか、大人でも楽しめるような、むしろ大人の方がより楽しめるような温かみのあるアニメーション作品でした。

古い羊皮紙に描かれているかのように感じる風景からは、この世界の静かさ、さみしさ、そして素朴さを感じました。
絵画をアニメーションにしたようにも思えます。
音楽がまたさらに雰囲気を助長しています。

短編アニメーションということでこの映画はわずか12分しかありません。
しかしその短い時間でこれだけのことを見る人に伝え、心を動かす映画もなかなか難しいことだと思います。

映画が娯楽としてではなく、芸術としても感じられる一作でした。

Netflixでも視聴可能ですし、12分と非常に短い映画なのでチャンスがあればぜひ見てほしい作品です。
また別に面白い短編映画を見つけることができればどんどん紹介していければなと持っています。



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