この映画では市橋の逃亡直前から、逮捕に至るまでのおよそ2年7か月の市橋の逃亡生活をもとにされています。
映画では本人の名乗る名前や、滞在する場所が変わるたびにパートの変化があります。
以下ではそれぞれのパートの流れをざっくりまとめています。
I AM ICHIHASHI
事件発覚。市橋の部屋まで警察が来たものの、まさかの逃亡されるという結果に終わってしまいます。
逃亡中、市橋はハサミで唇を切り取って、顔を変えます。
I AM LOST in Shikoku
顔を隠しながら、ラジオで事件のニュースを聞きながら、市橋はお遍路の旅をしていました。賽銭を盗み、彼は沖縄への移動を決めます。
I AM UESHIMA in Okinawa
お金を稼ぐためにアルバイトを始めます。しかし空き缶の回収で得られる収入はごく僅かでした。
そこで新たにアルバイトを始めますが、名前を聞かれたため「ウエシマ」と名乗ることにします。
寝床も確保できた彼ですが、常に逮捕されるのではないかという状況から不安をぬぐい切れず、無人島へと移動します。
I AM UEDA in Nagoya
さらに移動をした市橋は名古屋に向かいます。そして病院に向かい整形をするのですが、すぐにニュースで整形したことを報道されます。
I AM INOUE in Osaka
大阪では再びアルバイトを始めます。ところが、同じアルバイト先の人に通報をされてしまい、再び逃走せざるを得なくなってしまいます。
そして逃走の果て、ついに逮捕の場となるフェリー乗り場にたどり着きます…。
この映画は主演のディーン・フジオカが監督・主題歌も担当した2013年の映画です。
原作はこの殺人事件の犯人である市橋達也の『逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録』です。
映画の元となった事件「リンゼイ・アン・ホーカー殺人事件」、正式名称「市川市福栄における英国人女性殺人・死体遺棄事件」は2007年3月26日に発生し、犯人の市橋達也は2年7カ月後の2009年11月10日まで逃走を続けていました。
実際は映画と同じだったのかはわかりませんが、この映画では市橋は投獄生活や罪の意識からというよりも、自分自身から逃げ出したということを重点に描かれていると感じました。
決して同情の余地はありませんが、一人の人間として、人間らしさというものがこの映画で表現されています。
2012年に市橋は無期懲役が言い渡され、現在も刑務所生活を送っています。
事件発生の2007年当時、私は12歳だったのですが、この事件のニュースは記憶に残っています。
敬遠されやすい内容で、おそらく地上波では放送されないような映画ではありますが、興味のある方は是非ご覧ください。
リンゼイ・アン・ホーカーさんのご冥福をお祈りいたします。
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