5年間のナチスによる占領から解放され、ドイツに撤退していくドイツ軍の列を見て、デンマーク軍のラスムスン軍曹(ローラン・ムラ演)は5年間のうっ憤を晴らすかのように怒号を吐き散らしていました。
しかし、デンマークには大きな戦後処理問題が残っていました。
それは、ナチスドイツが大西洋側からのイギリス・アメリカの進行を防ぐために、デンマーク西海岸に埋めた200万以上の地雷の撤去でした。
その地雷の撤去に使われたのが、捕虜となったドイツの少年兵でした。
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彼らは地雷の除去をやったことがあるのはおろか、その地雷を見たことがないのも結構いました。
ある程度の訓練ののち、ラスムスン軍曹に任された10ほどの少年兵はゆっくりと、地道に海岸の地雷撤去作業を始めていきます。
しかし、作業を進めていくうちに、1人、また1人と地雷によって死んでしまいます。
実は地雷撤去に子どもが来るとは知らされていなかったラスムスン軍曹も、この状況に心の中で迷いが生じてきます。
そして彼は少年兵たちを「許されざる敵」としてではなく、「同じ人間」として彼らと接するようにもなります。
ドイツの復興に自分たちが力添えしたいという目標を持つ中、はたして少年兵たちは地雷撤去作業を完了し、生きてドイツの故郷に帰ることができるのか——?
『ヒトラーの忘れもの』は2015年公開のデンマーク・ドイツ合作映画です。
監督はデンマーク人のマーチン・サントフリートが務め、その年の第89回外国語映画賞にデンマーク代表としてノミネートされました。
映画の最後に文章で出てきますが、この地雷撤去に携わったほとんどが少年兵であり、半数近くが死傷したとされています。
ここで少し触れたいのが「ジュネーブ条約(俘虜の待遇に関する条約)」です。
「交戦国」の捕虜は強制労働を強いてはいけないというものですが、デンマークはドイツの「保護国」であり、「交戦国」ではないため、この条約をくぐった状況といえるでしょう。
それが、数々の死傷者を生んでしまいました。
その中でのラスムスン軍曹の葛藤は大きかったと思います。
子どもたちを死なせたくないと思う中、軍人である以上、上からの命令には従わなければいけないという「良心」と「規律」の板挟みが彼を大いに悩ませていました。
映画では1シーン以上は生々しい場面があるので、苦手な方は視聴を控えた方がいいかもしれません。
しかし、歴史映画が好きな人には改めて見てもらいたい1作となっています。
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